アサヒフレックス/ラインナップ

アサヒフレックスⅠ型

一眼レフの黎明期に確固たるレールを敷いた旭光学工業。その生きた証がこれだ!

カメラといえばレンジファインダーや二眼レフが主流の1952年(昭和27年)、旭光学は将来の一眼レフに夢を託し、アサヒフレックスⅠ型という国産初となる一眼レフカメラを発表した。シャッターはエバーリターンミラー(注1)で、ぶれやすく、またファインダーは上から覗き込むウエストレベル式で左右の像が逆転するというもの。実用としては別途設置の透視オプチカルファインダーが不可欠であった。ウエストファインダーに付随の焦点拡大鏡を立ててピント合わせをし、透視オプチカルファインダーで被写体を追う。実に使い勝手が悪い一眼レフであった。

マウントもM37と狭く、それに対応したレンズはとてもコンパクトな初期のタクマーレンズであった。特に当機Ⅰ型は、標準レンズのタクマー50mmf3.5が非プリセットタイプのもので、ピント合わせ一つ決めるにも不便な代物であった。(プリセットについてはⅠA頁を参照)

Ⅰ型の一目見てわかる特徴はシンクロがFP一芯式(注1)であること。そしてシャッタースピードの構成がB・1/20・1/30・1/40・1/80・1/100・1/200・1/500と今のカメラで想定するとずいぶん変則な配置になっている。

注1 改良機二芯式も存在するので要注意
注1:エバーリターンミラーとは、シャッターを指で押すその力を利用してミラーが昇降する仕組み。つまりシャッターを押し続けているとミラーが上がった状態が続き、離すと下りる。必然的にシャッターを押す時に力が入り、ぶれやすくなる。また、使い続けていると指が痛くなる。
これを解消したのがクリックリターンミラーで、2年後のⅡBより搭載する。

アサヒフレックス1型

イメージ使用レンズ タクマー 1:3.5 50mm

Ⅰ型の特徴、シャッタースピードの構成がこのように。B・1/20・1/30・1/40・1/80・1/100・1/200・1/500 このシャッターダイヤルの回転でシャッタースピードを制御している。実際にシャッター切ってみると、1/500はまずまずとして、一番低速の1/20は体感的に早すぎる感じがする。だから時期バージョンでは1/25に変更になったのだろうか?この機種でシャッタースピードの正確さを問うことはナンセンスである。

アサヒフレックス1型

こんな使い勝手の悪いカメラでも重宝された分野があった。小動物や植物の撮影には接写が欠かせない。つまり生物学の研究用として大学等、教育機関の備品として重宝されたのである。
 アサヒフレックに欠かせないアクセサリーに接写リング(下写真)の存在があった。これは一眼レフならばこそ成せる業であった。 戦後の復興期、サラリーマンの月給が数千円の時代、価格23,000円。レンジファインダーのライカ一と比べると廉価な価格設定であったのだが一般庶民がとうてい買える代物でないことは確かだ。

アサヒフレックス1型

外箱、取扱説明書、接写リングと揃って所持している個人は他にいるだろうか?いや、いないだろう。特にこの取扱説明書(使用説明書と表記)はⅠ型本体より貴重かもしれない。紙であるが故に喪失、あるいは不要になり処分等、おそらくメーカー発売元を含めても数冊しか存在しないと思う。それほど貴重な冊子である。  裏表紙を見ると、発売元が服部時計店となっている。旭光学がまだ独自の販売ルートを持たない時代、服部時計店と業務提携し販路を拡大していったことが伺える。

アサヒフレwックス1型取扱説明書

では、使用説明書の中身の一部をご覧ください。 昭和25年に登用漢字が制定されたものの、その制度は一般には広く普及してなかったのか、漢字の多くが旧文字が使われている。たとえば被写体が被寫體、いろいろと列挙しようと思ったが、パソコンで表示出来ない文字が多すぎる。とにかく時代を感じる貴重な取扱説明書である。

アサヒフレックス1型取扱説明書

アサヒフレックスカタログより

このカメラで撮影の写真

レンズ タクマー50mmf3.5初期タイプ

龍ケ崎市若柴町

レンズ タクマー50mmf3.5初期タイプ

取手市小貝川

Picasa"ウェブアルバム"でもっと見る

形式 35mmフォーカルプレーンシャッター式一眼レフ 
レンズマウント M37マウント
対応レンズ タクマー(M37)
ファインダー レフレックスタイプ 平凸集光レンズ6倍ルーペ付/ 縦位置用透視式併設 フォーカシングスクリーン固定
シャッター 機械式布幕横走りフォーカルブレーン
シャッタースピード 機械式 B・1/20・1/30・1/40・1/80・1/100・1/200・1/500秒
セルフタイマー なし
ミラー、絞り機構 エバーリターンミラー、非プリセットの手動絞り
シンクロ FP(1芯式)
フイルム巻き上げ ノブ式(約360度)
フイルム巻き戻し ノブ式(Rレバーセット))
フィルムカウンター 手動初期設定順算式
露出計 なし
サイズ 144W x 75H x 72D mm(タクマー50mmf3.5レンズ付)
重量 651g(上記レンズ含む)
発売時価格 23,000円(上記レンズ含む)
発売時期 1952年(昭和27年)